「ライセンスフリー無線」と「アマチュア無線」違いは出力と周波数だけではない

アマチュア無線

ライセンスフリー無線は、無線の資格を必要としません。アマチュア無線も似た趣味ではありますが実は大きな違いがあります。

ライセンスフリー無線とは

資格不要の簡易無線はなぜ始まったのか

電波は国民の共有財産でり、電波を公平且つ効率的に運用するのが電波法の精神です。

「資格のない方に対して無線の技術の恩恵を公平に与える必要があるのではないか」とアメリカで論議され、始まったのが資格のいらない簡易無線(ライセンスフリー)無線です。

資格不要な無線はCBから始まった

日本でも電波法の精神「電波は国民の財産、福祉の増進」に従って、「電波法第4条に規定する免許を要しない無線局」制定され1961年に27MC(現27MHZ帯で)が始まりました。

空中線電力0.5W以下で、通称市民ラジオ(CB無線)です。

資格不要であったが、申請を行い無線局免許状を受け呼び出し符号(コールサイン)を得る必要があった。

ソニーや松下電器など家電メーカが続々と無線機を販売し、ブームとなっていきます。

TVやラジオコマーシャルが流れるほどで、「ラジオの中から友が呼ぶ ソニー スカイトークICBー770」と当時としては、画期的な趣味だった。

しかし、出力0.5W 27MHZ 電波形式AMでは、電離層反射や山岳移動でないかぎり、通話距離はせいぜい2K~3Km程度であり、中学校の友人相手範囲程度でした。

この27MHZ帯という周波数は、国際的にISMバンドとされており、「電波を無線通信以外に利用する設備」が使う周波数として始まったが、「資格不要の簡易無線」が使う様になった。Wi-Fiなどの周波数もこれに該当する。

その様な背景から、海外もこのISMバンドの27MHZ帯のCB無線が当時はやっていた。

80年代の日本は、ものつくりが海外から評価あされており、CB無線機を量産し、海外へ輸出していた。

無線のチャンネルや出力は、その国の法律が順守されるため、日本では8CH 0.5WであったCBが、海外では、24CH 5Wのアメリカ規格がメインであった。

この様な機器が、国内で不法に使用さるようになっていった。

当時、映画「トラック野郎」等でも不法CBが登場して、この様な不法を助長していった。

「了解しました~」「〇〇です」と言うCB訛りや「XX会」とやくざ如くの組織などや、高出力による信号機や電光掲示版当の誤動作が社会的に問題になっていきました。

短命のパーソナル無線

この様な状態を危惧した行政は、新たな周波数による資格不要の無線を900MHZ帯に作りました。

各家電メーカもこのパーソナル無線機を続々と発売していく1982年の事である。

携帯電話やインターネットが無い時代、友人とコミュニケーションが取れると話題になり、ブーム化していく。

薬師丸ひろ子が主役の映画「メインテーマ」ではパーソナル無線機で「ハローCQパーソナル」とするシーンがあり、若者への浸透度がうかがえる。

出力は5WのFMモードであったが、外部アンテナや後つけマイクが可能であった為、車への搭載や、自宅の外部アンテナにより5K~10Kmぐらいの通信が可能であった。

知らない人と交信できるとの売り文句もあった。

しかし、これもまたCBと同様、出力を増強するリニアアンプを付けたり、無線機を改造して周波数を広げて運用する不法局が現れ、行政はまたもや苦よするようになります。

付近の周波数は、携帯電話の周波数が割り当てられており、「プラチナバンド」という程の重要なバンドでもあった為、結局廃止となり、現在では運用できない様になってしまった。

100mの範囲で活用する特定小電力無線

90年代の後半になって、工事現場やイベントなのでトランシーバを使いたいと言う要求に答える為に始まったのが、特定小電力無線です。400MHZ帯域で出力0.01WのFMで、ハンディトランシーバータイプの無線が主です。

用途は、工事現場やイベント、構内での仕様を想定していました。

しかし、400MHZ帯域で出力0.01WのFMは、山岳やビルのロケーションによっては、かなり遠方へ到達する事と、レピータ(中継器)の使用が可能である事から、不特定多数の相手と交信しようとマニアの方がいます。

しかし、付属のロットアンテナのみで、小出力の0.01Wである事から、遠方との通信向きではありません。

利点は、資格不要、無線局の免許も不要で、購入してすぐに使えます。

電波利用税もありませんから、休日山岳へもって行く人も多くいます。

 ※特定小電力はこの他データ用など400MHZ帯以外にもあります。

デジタル簡易無線

パーソナル無線の違法行為が目立ち、また携帯電話にとっては、遠くまで飛び基地局数を減らせるプラチナバンドの拡張をしたい行政は、パーソナル無線の代替とし、300MHZ帯に新たにデジタル簡易無線登録局を作りました。

出力は5W 外部アンテナも可能ですが、モードはデジタルモードです。

いままでのアナログFMモードに比べて、全体的に到達距離は短くなります。

資格不要ですが、登録が必要で、登録証を得る必要があります。電波利用税もかかります。

それでも資格不要で5W UHF帯ですから、かなり実用的です。もちろん業務にも使う事ができます。

資格不要だが、条件があるライセンスフリー無線

「資格のない方に対して無線の技術の恩恵を公平に与える必要があるのではないか」で始まったライセンスフリー無線ですが、他の通信に対する妨害を許容している分けではありません。

誰でも使えると言う事は、だれが使っても他に妨害を与えない事が重要で、行政では周波数や出力をはじめとして機器認定や認証を法律に基づき確実に行っています。

使う方は、基本的に機器の改造も規定以外のアンテナや、リニアアンプも使用できません。

無線機も特殊なねじで締めれてており、蓋を開けた無線機を使用する事はできません。自己修理もできません。

ライセンスフリーを楽しんでいる方は「みんな同一条件であるから 楽しい」との事です。

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ライセンスフリー無線とアマチュア無線の違いは

無線の趣味では似ているアマチュア無線、実は大きな違いがあります。

工夫できるアマチュア無線

アマチュア無線は、資格別に運用できる周波数や最大出力はありますが、使用する無線機やアンテナに制限はありません。自作の無線機や自作アンテナを使う事は可能です。(無線機は認定は必要)

この工夫できる範囲は、ライセンスフリー無線に比べて格段に広い事になります。

基本的には無線機の修理も自分で行う事ができます。

出す電波に責任を持っている

アマチュア無線は、行政から正式な従事者免許と無線局免許状が交付されています。

これは、無線工学に知識を得ていて、電波法を理解し、適正な無線運用を行う知識が在る事を示しています。

電波法の無線局運用規則を遵守し自分のコールサイン、電波の出どころを示しています。

つまり自分の出す電波には責任をもっています。(責任を持つ必要があります。)

ライセンスフリー無線は、だれでも使える訳ですので、その様な責任はありません。

過去CB無線などが不法局の温床になってしまったのは、この様に電波の発信に責任が無い事が影響しているのではないでしょうか。

まとめ

ライセンスフリー無線の概要とアマチュア無線との違いを考察してみました。

著者はライセンスフリー無線もアマチュア無線もどちらも楽しんでいます。

「アマチュア無線は資格を取るのが面倒だかライセンスフリー無線で十分楽しめる」と言う方にとって今回の考察が役に立てれば幸いです。Terry(さいたまDH19 昭和45年取得)

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