「携帯電話」と趣味「アマチュア無線」の違い！を解説

「アマチュア無線なんて携帯電話があるのだから要らない！」と思っている方へ　今回は、どこが違うのか違いを考察します。　

技術的な違い
1. 技術的な違い一覧表
2. 同報性の違い
周波数という広場での会話
仲間でテーブル会議
携帯電話は、いじれない
相手と接続する方式の違い
そもそも目的が違う
まとめ

技術的な違い

携帯電話とアマチュア無線の大きな技術的な違いは、インフラ（携帯電話は、携帯電話会社が作った電話網）を使用するかどうかです。以下に技術的な違いの表を示します。

技術的な違い一覧表

比較項目	携帯電話	アマチュア無線
目的	個人のコミュニケーション、インターネット利用	趣味、技術実験、非常通信
通信範囲	基地局の範囲内（通常数キロメートル）	近距離～大陸間通信（周波数による）
使用周波数	UHF帯、ミリ波（固定）	短波、VHF、UHFなど多岐にわたる
通信方法	音声通話、データ通信、メッセージ	音声、モールス信号、デジタル通信
免許の必要性	不要	免許が必要
緊急時の利用	緊急通報や災害時の情報提供	インフラなしでの非常通信に活用可能

このように、携帯電話は利便性が高く、誰でも簡単に使える一方で、アマチュア無線は技術的な挑戦や緊急時の有用性があります。

同報性の違い

さらに大きな違いは、同報性（同時に多くの人へ伝える事）です。携帯電話は、一般的には通話相手１名又は電話会議システムでは、その参加者のみとなります。

アマチュア無線が使用する無線システムは、その電波が届く範囲で、同じ周波数・モードを受信（周波数を合わせてて聞く事）ができます。ラジオ放送やテレビ放送などの方式と同じです。

インターネット等のシステムでは、同報性を持たせたサービスもありますが、インターネットというインフラが必要です。

周波数という広場での会話

アマチュア無線の特徴でもある同報性は、一般的な携帯電話の通話の様にプライバシー重視ではありません。

つまり誰が聞いているのは、わかりません。プライバシーはありません。しかし逆にいえば、色々な人と話せる可能性もあります。例えば誰が聞いても良い話（趣味の話や一般的な出来事）などは、その内容に興味がある人がいる可能性もあり、アマチュア無線の場合は、その方とお話できる可能性があります。

アマチュア無線の交信は、ルールはありますが、基本的には日常会話です。自分の電波が届いている範囲の人が皆聞いている可能性がありますし、色々な人の楽しい会話を聞く事ができます。

携帯電話では、同報性は専用のシステムを使用しない場合、いきなり見知らぬ人へ電話をかけて自分の話をしては、「いたずら電話」にしかなりませんね。また他人の話を聞く事はできませんね。（聞いたら法律違反で捕まります）

仲間でテーブル会議

アマチュア無線の交信は、基本的に半二重（話すと聞くを交互に交代して会話する）です。電波を出すと受信するを繰り返します。

これを利用すると、仲間同士で電波を使ったテーブル会議がでます。３人以上で順番に送信（話）をしていけば、会話の内容を共用しながら発言する事ができます。また人数が多い場合は、司会者（コントロール局）と指名して進める事もあります。

電波での会議が可能です。中の良い方が集まって休日前なのにこの様な交信を聞く事があります。ランドテーブルQSOと呼んでいます。

またその交信を全く関係のない方も聞く事が可能です。まさに同報性の活用！の活用！です。

携帯電話は、いじれない

電波って不思議ですよね。線もつながっていないのに遠くまで声が届く？どの様になっているのか思いませんか？

だからと言って携帯電話を分解いたりしないでください。基本携帯電話は改造や分解ができません。その様な携帯電話は使用できなくなります。電波法等で改造が禁止されています。

無線機の改造、作成を個人でできるのは、アマチュア無線のみです。アマチュア無線のライセンスを取得し、その資格に応じた出力範囲であれば、改造、作成する事が可能です。（申請は必要な場合あり）

アンテナの実験も好きなだけ行う事が可能です。著者は40年以上実験や作成を行っていますが、飽きていませんしまだ不識に魅了されています。

電波がどの様な特性があり、どうしたら遠くまで届くのか創意・工夫する事が出来るのがアマチュア無線の大きな特徴です。

相手と接続する方式の違い

携帯電話の相手を呼び出すには、基本相手に電話をかけるという事を行います。　通常は接続されていません。

アマチュア無線の場合は、相手が同じ周波数を聞いていれば、即交信か可能です。要件をすぐに伝える事ができます。

※周波数は多くの局との共有です。他局への混信や妨害には注意が必要です。

警察無線や消防も同様に同報性と即時性（すぐに伝える）を活用していて、アマチュア無線も同様な活用ができます。

そもそも目的が違う

携帯電話とアマチュア無線とはそもそも目的が違うのです。携帯電話は、日常に欠かせない情報を確実に遠方へ伝達する物です。しっかりしたインフラの元で確実に接続し、プライバシーの守られた状態を確保する事が重要です。

その確実性を電話料金等で確保して使う物です。

一方アマチュア無線は、あくまで趣味で行う物であり、確実性より偶然性を使ったコミュニケーション手段です。必ず伝わるとは言えないが、知らない人と交信する機会があり、電波の状況によっては全く知らない地域や国の仲間（アマチュア無線家）と友人になれる環境を提供してくれます。また電波の自己研究や実験による創意工夫も行う事が出来ます。