エアバンド(航空無線)は、特定の相手方(パイロットと管制官など)の間で行われる業務無線通信に該当します。業務無線通信を受信すると電波法違反で逮捕されるのでしょうか?今回は、これについて考察します。
※この解説は、本ブログの作成者(所長)が、無線の従事者資格取得で得た知識で解説します。誤り等がある可能性があります。
業務無線通信受信による電波法違反で逮捕
報道記事より
愛知県警中村警察署は2024年9月4日、JR東海、名鉄、近鉄の鉄道無線を傍受し、大手動画投稿サイトでその受信音声を公開したとして、愛知県名古屋市の男性(52歳)を電波法違反容疑で逮捕されたとの報道がありました。
エアバンドも鉄道無線同様に業務無線通信に該当します。ではエアバンドを受信して楽しんでいると、逮捕されてしまうのはないかと、思う方が多いのではないでしょうか?
なせ逮捕されてしまったのか、なにが問題なのかを電波法の解説をしながら考えます。
電波法の基本理念に基づく受信行為
電波法の基本理念の中に「公共の福祉」に以下の様に定義されています。
電波は公共の財産であり、すべての国民が公平にその恩恵を享受できるように利用されるべきとされています。そのため、無線通信の運用は個人の利益だけではなく、社会全体の福祉に資する形で行われるべきです。
とされています。従ってどの様な電波を受信しても公共の財産である以上、問題は無いと思われます。
業務無線通信を受信した事で逮捕された事例もありません。(戦前はありましたけど)
では何故電波法違反で逮捕されたのか?
逮捕されたのは、受信したからでは無く別の問題で逮捕されたのです。
電波法には、以下の項目があります。
電波法第59条(無線通信の秘密の保護)
何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(省略)を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。
この条文は、どの様な意味でしょうか? 要約すると、特定の相手方(業務無線通信等)を傍受(受信して)その内容を漏らしたり、窃用(利用)してはいけないと言う事です。
業務無線通信の内容を漏らす行為
愛知県名古屋市の男性(52歳)は、インターネットの動画サイトに通信音声を公開した事により、電波法第59条(無線通信の秘密の保護)違反で逮捕に至ったのです。
報道では、音声を閲覧できる鉄道無線の動画1,000本を超えるとされていて、事件は「JR東海、名鉄、近鉄」の3社が愛知県警に被害を相談したことから発覚したとの事です。
電波法第59条(無線通信の秘密の保護)は、とても重要な法律
この法律は、とても重要な法律で、電波を出したり、保守する方が取得する無線従事者免許にも、この条文が記載されています。アマチュア無線の従事者免許書の裏面にも記載されています。
エアバンド(航空無線)の内容を漏らす行為
YouTubeで見かけるエアバンドの音声を含んだ動画ですが、この電波法第59条(無線通信の秘密の保護)に抵触する可能性があります。特に自衛隊や米軍のエアバンドの音声公開は、国防にも関わる行為ではないかとひやひやです。
カッコいいエアバンドの通信を、他人に教えたい気持ちはわかりますが、国内の電波法では違法になります。
個人で受信して楽しんで下さい。
なお海外のエアバンド受信内容の公開については、適用外の様に思われます。(各国の法律が適用)
国内で受信された個々の内容や音声は、絶対に公開しないでください。
他の特定方への通信
今回逮捕されてしまった鉄道無線の公開ですが、他の業務無線を始めこのブログでもお馴染みの、アマチュア無線も特定の相手方への通信です。YouTube等への公開には、十分注意してください。
法律は、「知らなかった」では済まされません。
せっかく皆さんで楽しんでいる趣味ですから、新聞沙汰にならない事を願って本記事を作成しました。Terry
※趣味研究所では、電波法を重視して、受信内容の個々の事柄や音声は記載していません。
また周波数等の情報は、雑誌、ネット等の公になっている物を使用しています。
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