先日V・UHFをメインにされている局長さんから「HFは電離層反射なのだから、地上高の高いアンテナは必要ないのではないか」との質問を頂きました。
今回は、この疑問について考えてみたいと思います。
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電離層反射で交信するHF
U・VHFとHFとの違い
主とした電波の飛び方としてVHF144Mhz・UHF430Mhzは、見通し距離や山岳・建物反射、ダクトですが、HF(短波)1.9MHZ~28MHZは、電離層反射です。
主に使う電離層は地球の周囲、酸素・窒素がイオン化する(F層だと地上150Km以上)上空にあります。HFはこの電離層に電波を反射させて遠くまで交信を行います。
電離層反射の角度で変わるサービスエリア(到達距離)
真上にある電離層へまっすぐ電波を送ると、真上から電波がかえってきます。
地球は円形なので、真上の電離層に当たて場合、電波を出した周辺にしか届きません。
次に地面に近い角度にして電波を飛ばすと、遠くの電離層に反射してより遠望に飛んでいきます。
電波を電離層に向けて送信する角度を「打ち上げ角度」と言います。
この打ち上げ角度を調整すると、交信エリアを調整する事が可能です。
真上に近いと近く、地面すれすれだとより遠くに電波を飛ばす事が出来ます。
海外と交信するに適切な角度は、地面よりおよそ30度ぐらいと言われています。
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地面の影響で打ち上げ角度が変わるアンテナ
アンテナ付近の物により飛び方か変わる
各周波数には、波長「λ」があります。144Mhzおよそ2m、430Mおよそ70Cmで、周波が低いと長くなります。
300÷周波数(Mhz)=波長(mλ)
周波数によってアンテナの大きなが違うのは、この波長の違いによる物です。
アンテナの周辺の、各周波数の波長の内側の物は、電波の飛び方に大きく影響します。
この性質を利用したのが「八木アンテナ」で、アンテナの近くに金属棒を置くと、指向性が生まれる事を使っています。(八木・宇田先生すごい)
アース(大地)による影響
自宅にアンテナを設置した場合、144MHZや430MHZは、波長が2m以下になりますので、大地の影響はあまりありません。
HFの場合、28MHZで10m、14MHZで20m、7MHZで40mになります。
当然ながら住宅や大地の影響を受けます。
大地によって打ち上げ角度が変わる
HFでは波長が長いので大地の影響が大きくなります。
一般的に地面に近いと大地の影響で打ち上げ角度が地面より高くなる(真上に近くなる)傾向があります。
この性質を利用して、サービスエリア(到達距離)を調整する事が出来ます。
先日見てきた「HF航空無線の坂戸受信所」のアンテナも20mぐらいでそれ程高くないのは、到達距離が国内周辺だからでしょうか?あまり高くすると、国内周辺を通り越してしまします。(スキップと言います)
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HFを楽しむには、目的に合わせた地上高が必要
HFを楽しむには、アンテナの高さによる打ち上げ角度を意識する必要があります。
21MHZ(波長15m)では、地上高15m以上あれば打ち上げ角度は、かなり低くなり、DX(海外)との交信も比較的簡単ですが、7MHZ(波長40m)だとDXを行うには、最低でも1/2λ地上高20m以上は欲しい所です。
7MHで国内交信を楽しむには、地上高15m以下の方が良い場合もあります。
この打ち上げ角度による到達距離は、コンデションによっても大きく影響されますので、低いアンテナではDXができない分けではありません。 この辺が電波、電離層の不思議なところで面白い所です。
まとめ
今回はHF(短波)を楽しむ為に地上高の高いアンテナは必要なのか?との質問に対して考えてみました。
一般的に「地上高の高いアンテナは大地の影響を受けにくく、打ち上げ角度を地面に近い角度で電波を発射でき、到達距離を延ばす事が可能」
もちろん電離層の状態、季節、時間、年、日に大きく影響します。
みなさんも自分のできる範囲でHFを楽しんでください。Terry
※今回は一般的な打ち上げ角度と到達距離について考えました。大地を利用したアンテナは触れていません。
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コメント
埼玉県のアマチュア無線愛好家の20mのアンテナの解体がNHKで放映されていました
はい 見ました