デジタル化が進んだ現在でも、アマチュア無線のCW(モールス通信)は根強い人気が有ります。
先日交信中の会話で、ある局が「CW解読器があるので、覚える必要が無い」と話していました。
本当にそうでしょうか?今回はCWの楽しさについての考察です。
※この記事は、解読器開発に異議を唱える物ではありません。
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CW(モールス)信号解読器
解読器登場
80年代の初頭、CW(モールス)信号をマイコン(パソコン)で解読する試みがアマチュア無線家のマイコン(パソコン)好きの方で行われていました。
当時のマイコン(パソコン)は処理能力が遅く、まともに解読しませんでしたが、送信(キーボードを叩くとCW(モールス)を出す)機能は再現する事ができました。
現代のパソコンやワンボードマイコンは、比較にならない処理能力で、人間の受信能力に匹敵する程に解読や送信を行う事が可能の様です。
もっと昔からあった「機械によるモールス信号通信 RTTY」
第二次世界大戦の頃に、モールスで行っていた文字情報の通信を、機械にやらせようと開発したのがRTTY(ラジオテレタイプ)です。
タイプライターの信号を2つのトーンにして機械が受信しやすい様に進化させたこの方式は、業務局の新聞社や船舶などので多く用いられています。
現在のアマチュア無線でも、このRTTYは運用されていています。
最新の無線機には、このモードを受信する機能が搭載されています。
アマチュア無線で進化させた「パソコンを使った通信」
その後アマチュア無線家は、RTTYの弱点(大きな送信出力必要)や、解読率を上げる努力を行っていきます。
80年代の後半にはパケット通信、2000年代には微弱信号で受信出来様に改良されたPSK31、最近では超微弱な受信で文字通信を行うFT8など、に進化させています。
私が思うCW(モールス)通信が楽しい理由
CWの文字情報を機械にやらせる試みは、モードを変えて進化しています。
では何故、従来のCW(モールス)信号の解読器は普及しないのか?
CW通信の楽しさは、単に文字情報の通信を行う事だけではないからです。
※この記事は、解読器開発に異議を唱える物ではありません。
習い事の楽しさ
CW(モールス)通信の良さは、人が送受信出来る所ではないでしょうか。
人が送受信するには、モールス信号を覚える必要があります。
習い事のそろばんやスポーツでもそうですが、覚える鍛錬は面倒な事です。
しかし鍛錬の結果「できる様になった!」と喜ぶ事が出来るのが、この習い事ではないでしょうか。
少しずつ覚えていくモールス符号、トン・ツーが聞き取れる様になる喜びは、他のモードにはない喜びです。
CW(モールス)通信には、先輩と後輩がいる
CWを覚えて運用する人は、皆同じ道を通って覚えています。最初はなかなか上手くできない送信や何度聞いてもわからない符号、その道を通って上達していきます。
符号を聞くと「自分もこんな頃があった」や、「あんなに上手くなりたい」等がバンド内で楽しむ事が出来ます。
トン・ツーによる個性
モールス通信は、文字や文章の間の取り方などで個性が出る物なのです。
この個性は、立ふり電鍵だけではなく、エレキーでも出ます。
7MHZのCWバンドを聞いていると、「おーいつもの人だ!」とコールサインを聞く前にわかる事が度々あります。
人対人が交信する楽しみがCW信号に乗って来る
単純なトン.ツーの符号に個性や人間性を感じる所が、CWの面白い所ではないでしょうか。
※この記事は、解読器開発に異議を唱える物ではありません。
アマチュア無線の楽しみ方は人それぞれ
アマチュア無線は趣味ですから、楽しみ方はそれぞれであって良いと思います。
他人に迷惑をかけない事と、ルールを守れば色々な事を行い楽しむ事で良いと思います。
今回は、CW(モールス)の楽しみ方について書きました。もちろんCW解読器やソフトを作成して楽しんでいる人に異議があるのではありません。
覚える事、鍛錬する事の楽しみを知ってもらいたいと思います。
和文の鍛錬をしなくては…Terry
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